お役立ち
持ち手のコバに割れと剥がれがある革バッグ

革バッグの持ち手コバが剥がれたとき、塗る前に撮る写真|芯材・付け根・べたつきの伝え方

持ち手の縁に細い亀裂が入り、黒や茶色の仕上げが浮いてくると、指で戻したり接着剤で留めたりしたくなるかもしれません。けれど、修理について相談するなら、手を加える前の状態を残しておくほうが傷みの範囲を伝えやすくなります。

この記事では、持ち手の縁に施された仕上げ部分を「コバ」と表記します。皮革に関する言葉を確認したいときは、日本皮革産業連合会が案内するみんなの皮革用語辞典も参照できます。ただし、名称が分かっても、バッグ内部の素材や構造まで写真だけで決めつけることはできません。

相談用の写真では、剥がれた一点だけでなく、持ち手全体、内側の層、バッグ本体との付け根、べたつきの広がりを分けて写します。撮影中はバッグの中身を抜き、持ち手に荷重をかけない状態で進めます。

最初の一枚は、剥がれた部分ではなく持ち手全体

革バッグ全体と左右の持ち手を比較するための俯瞰写真

最初から亀裂だけを大きく撮ると、その傷みが持ち手のどの位置にあり、どこまで続いているのかが分かりにくくなります。バッグを平らな場所に置き、左右の持ち手が一緒に入る全体写真から始めると、細部写真との位置関係を追いやすくなります。

範囲は全体、側面、裏側の順に分ける

一枚にすべてを収めようとせず、距離と角度を変えて撮ります。画像加工や色味の強いフィルターは使わず、同じ明るさでそろえると比較しやすくなります。

  1. バッグ全体と左右の持ち手
  2. 傷んでいる持ち手一本の端から端まで
  3. コバが割れた側面と、その反対側
  4. 剥がれの始点と終点が分かる接写
  5. 傷んでいない持ち手、または反対側との比較

亀裂が複数ある場合は、一本の線に見える角度だけでなく、間隔が分かる正面寄りの写真も残します。

浮いた端はめくらず、光の向きで見せる

剥がれの下を見せようとして浮いた部分を引っ張ると、撮影前とは違う状態になります。めくらない状態のまま正面から一枚、窓の光が横から当たる角度でもう一枚撮ると、浮きや段差を写し分けられます。

大きさの目安が必要なら、定規を患部の横に置いて撮影します。剥がれた部分へ押し当てたり、べたつく面に接触させたりする必要はありません。

芯材に見える層、付け根、べたつきは別々に写す

持ち手のコバ断面とバッグ本体側の付け根を写した接写

コバの欠けから色や質感の異なる層が見えていても、それが何の素材かを写真だけで断定するのは避けます。「芯材らしき層が見える」と伝えられるよう、位置と見え方をそのまま残すことが目的です。付け根とべたつきも、同じ接写だけで済ませず、情報を分けます。

内側の層は正面と斜めから

色の違う層が見える箇所は、カメラを近づけすぎて影を落とさないようにします。正面から断面が見える一枚と、持ち手の厚みが分かる斜め方向の一枚があると、露出している位置を伝えやすくなります。

隙間を広げる、先の細い物を差し込む、剥がれを引いて断面を見せる、といった操作は行いません。見えない部分は、見えないままで構いません。

付け根は表裏と左右差を見る

持ち手がバッグ本体へつながる付け根は、正面だけでなく裏側も撮ります。縫い目、金具、革の折り返しがある場合は、それぞれが入る距離まで少し引いてください。反対側の付け根も同じ角度で撮れば、傾きや形の違いを比較できます。

撮影のために持ち手を強く起こしたり、ねじれを手で直したりはしません。変形しているように見える場合も、バッグを空にして置いた状態を先に残します。

べたつきは光沢の差と文章で補う

べたつきは写真だけでは伝わりにくいため、窓からの光を横方向に当て、光沢や表面のむらが見える角度を探します。触って確かめる動作を繰り返したり、紙や布を貼り付けて粘着性を示したりする必要はありません。

  • 持ち手の片側だけか、両側にあるか
  • 側面だけか、手が触れる内側にもあるか
  • すでに手や衣類への付着に気づいたか
  • いつ気づき、その前に水濡れや保管環境の変化があったか

分かる事実だけを添え、原因は推測で決めないようにします。付着の有無を確認するために、あらためて指や布でこする必要もありません。

相談前は「塗る・貼る・削る」を控える

自己補修をせず革バッグの持ち手をスマートフォンで撮影する様子

撮影の目的は、現在の状態を変えずに伝えることです。見た目を一時的に整える処置でも、境目や表面の状態が隠れることがあります。修理方法を確認する前は、家庭にある材料で埋めたり固定したりせず、そのまま撮影します。

接着剤やコバ塗料で浮きを隠さない

相談前に避けたいのは、次のような自己補修です。

  • 接着剤で浮いた部分を貼り戻す
  • コバ塗料、補修ペン、マニキュアなどを重ねる
  • テープ、粉、紙や布でべたつきを覆う
  • 浮いた部分を切る、むしる、紙やすりで削る
  • アルコールや溶剤を含む液体で拭く
  • ドライヤーなどの熱を当てる

これらを行ったからといって修理の可否が一律に決まるわけではありません。ただし、相談前の見え方は変わります。すでに何かを塗ったり貼ったりしている場合は、無理に剥がさず、その状態を撮影して使用した物と時期を伝えます。

写真と相談文を同じ順番にそろえる

写真は「全体、傷みの範囲、内側の層、付け根、べたつき」の順に並べると、説明文と対応させやすくなります。

相談文には、気づいた時期、割れや剥がれの位置、内側の層が見えるか、付け根にも変化があるか、べたつく範囲、これまでに行った手入れや自己補修を記載します。素材名や原因が分からない項目は、推測せず「不明」として構いません。

写真がそろったら、Rafixのお問い合わせページから相談する際の情報として添えてください。写真だけでは分からない部分もあるため、修理の可否や方法を画像のみで決めつけず、案内を確認してから手を加えます。

送信後も、バッグの中身を抜き、持ち手へ荷重をかけずに置いておきます。傷んだ面がほかの革や布へ触れないよう位置を整え、状態に変化があった場合は、最初の写真を消さずに新しい写真を追加すると経過を伝えられます。